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【コートジボワール戦】勝負の難しさ、面白さ―采配は成功体験からの脱却が鍵―

        今週のお題「サッカー」

こんにちは。今日はFIFAワールドカップの日本戦でしたね。

私はマレーシアのマクドナルドのTVで友人たちと観戦していました。

悔しい結果でしたが、改めて勝負の難しさを痛感いたしました。

 

試合後は多くの采配や選手への批判が行われています。

 

◇選手交代への批判

・長谷部を先発にしたのは何故か、そして何故後半から遠藤を投入したのか

・守備ができていない香川をもっと早く交代させるべきだった

・なぜ先発が大迫だったのか

・大久保投入の意味は

・後半のパワープレーを選んだにも関わらず、身長の高い選手を選ばなかったのは何故

◇選手への批判

・大舞台で緊張しすぎ

・経験が少ない

・自分たちのサッカーを捨てていた

・相手に萎縮していた

 

これらの批判は確かにその通りで、これらの問題点を解消しさえすれば、あの試合は勝利できていたかもしれません。

ですが、正直試合後に反省点を洗い出しても、次のギリシャ戦,次のワールドカップの初戦でいい結果が出せるかというとそうではありません。

正直これらの批判は全くと言っていいほど生産性はありません。

 

解決すべきは

以上のような問題が生じた時に、いかに監督、選手、組織の一員が気づき、周囲の空気を変えるリーダーシップを発揮するかです。

これがチームスポーツ、組織の永遠の課題であり、勝負の難しさの根本を為すものであると思います。

 

まず、監督の采配というのは大変難しいものです。

私は大学の野球部で選手交代などの指揮を執ったことがありますが、厳しい試合になればなるほど、難しい決断が多くなってきます。

しかし、野球はサッカーとは違い、攻守交代があり、考える時間があるスポーツです。

一方サッカーは常に時間が流れており、その中で相手の動き、味方の状態を見極めながら、戦術変更、選手交代(しかも3回のみ)をしていかなければなりません。

これがどれだけ難しいかはスポーツで監督をしたことがある人ならわかるはずです。

 

私の経験上、監督の采配で一番邪魔になるのは「過去の成功体験」です。

つまり良い決断をするためには、いかに「過去の成功体験から決別できるか」が鍵になってきます。

 

野球の場合だと、

「このピッチャーは毎回ピンチになっても大丈夫だったから信じて投げさせよう。」

「こいつは調子悪いけど去年は打ってくれた。だから我慢して使い続けよう」

こういう感じです。

もちろん信じることは大切なのですが、信じることは思考を停止することと同じなので、危険度が高くなります。

 

今回のザッケローニの場合も、過去の成功体験、昨年のオランダ・ベルギーとの善戦や、コンフェデでのイタリアとの試合での善戦

また、ワールドカップ開幕直前のコスタリカザンビアへの勝利。

これらの試合での一種の成功体験が、今日の試合のコンティンジェンシープランの欠如につながったのではないかと思います。

 

例えば、長谷部から遠藤への交代。

前半の9分位での交代でしたが、あの時点では日本はリードしており、一見合理的な交代に見えました。

この決断はコスタリカ戦で「後半からの遠藤投入が効いていた」というたった一回の成功体験に基づく決断だったからです。(私にはそう思えました)

しかしこの試合、結果的にこの交代が命となり、守備で奮闘していた長谷部がいなくなり、遠藤が守れず失点という形になりました。

 

監督などの指揮官は、正解となり得るカードがあればあるほど自分が楽になります。

いい選手がベンチにいればいるほど楽だし、いい組み合わせがあればあるほど楽です。

したがって、いっかい「あ、このパターン良い」ってなると、それを「使えるカード」として加えたくなります。

でも実際たった一回の成功ってあてになりませんよね。

にも関わらず、楽になりたいと考えると、カードとして無意識に加えてしまうのです。

 

今回ザッケローニにそのような意識があったかはわかりませんが、「とりあえず後半から遠藤入れとけば何とかなる」というように私には見えました。

その結果、失点してからの適応に遅れ、他の選手のカードを切るのが遅くなったんじゃないかなと推測しています。

 

でもこれらの判断は非常に難しい。

さっきも言ったように、サッカーは時間が常に流れているスポーツだからです。

ハーフタイムもたったの15分その中で適切な判断をするには、余程の才能がないと難しいでしょう。

 

その流れる時間の中で指揮官は、相手からのプレッシャー、大舞台の雰囲気、選手のコンディション、これまでの経験、いろいろな変数を組み合わせて判断していかなければなりません。

その変数をいかに単純化し、最適な判断をするか、そして成功体験にとらわれない手札の切り方をするか。

これができるようになるかが、今後の試合で勝てるかどうかを左右するのだと思います。

組織の空気を変えるのがリーダーの仕事だとすれば、チームの精神的支柱である長谷部が2失点した際にベンチにいたのが一番痛かったのではないかと今更ながら思います。

彼が、ドログバ投入後後半の萎縮ムードを変えることができていれば、、と思います。

 

一瞬の判断が大きなミスにつながる。

そんな勝負の面白さを痛感した試合でした。

次にギリシャ戦は勝利して欲しいです。決して今日の試合で4年間が無駄だったということにはなりません。

長くなりましたが、以上。