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旅・書評・仕事

【企業】障がい者が戦力となり働く工場ーエフピコのすごさー

企業

ー驚異の食品トレイ工場ー

今日は茨城県にあるエフピコという会社の工場の見学をしてきた。

エフピコは全国に拠点をもつメーカーで主に食品トレイを中心に生産している。

電子レンジで使えるトレイ、重ねてもかさばらないトレイを開発したり、

それまで白だったデザインしかなかったトレイに木目調のデザインやカラフルなデザインを取り入れるなど、

食品トレイにイノベーションを起こし続けている企業だ。

 

全国に物流拠点も持ち、独自のSCMでリサイクル工場と生産工場を網羅するサプライチェーンを築いている、まさに食品トレイの王様企業だ。

 

そんなエフピコの工場の見学に行ったのは、もちろんトレイの製造現場を観てみたいという理由もあるが、

もうひとつ、これを抜きにしてはエフピコを語れないという要素があるからだ。

 

それが、障がい者を積極的に活用した人材体制だ。

 

エフピコは企業サイトの「障がいのある方々とともに」にあるように、

日本では他に類を見ないくらいに障がい者の雇用を積極的に行っている。

日本には障害者雇用促進法という法律があり、50人以上従業員がいる企業は、その中の2%、障がい者を雇わなければならないということになっている。

 

法律なので、それに従わなければ、罰金などが課せられる。

したがって通常企業などでは積極的ではないにしろ、障がい者を雇い入れ仕事をさせている。

ただ、日本の企業では障がい者を雇う負担と罰金の額を照らしあわせ、罰金だけを払って障がい者の雇用をしない、という企業も少なくないらしい。

 

2%でさえ守るのは難しいのだ。しかしよく考えてみても100人に2人なら、1000人いる企業なら20人

1万人いる企業なら200人も雇わなければならない。

そう考えると企業が罰金を払うことで逃れようとしているのもわからなくはない。

 

そんな中、今日見学に行ったエフピコは凄まじい障がい者雇用率を維持している。

なんと、4000人いる企業でその16%が障がい者なのだ。

法定雇用率の2%でさえ日本の企業が苦戦している事実を考えるとこの数字がいかに強烈かわかるだろう。

 

そして何よりもすごいのが、その障害を持った人たちが中心となって働いているということである。

見学したのはトレイのリサイクル工場。

ここでは全国から使用済みのトレイが運ばれてくる。

その膨大な量のトレイを「リサイクルできるもの」と「リサイクルできないもの」に分けていく。

 

機械での分別作業もあるが、小さなラップの剥がし残しがあってもそれは使えないので、そういうものは目で点検し仕分けていく。

その仕分け作業はすべて障がい者の手によって行われている。

「何だ簡単な作業じゃないか」と思った人もいるかもしれないが、

その仕分けスピードはかなり速く、また機械がトラブル停止すれば、彼らが直しに行き、

トラブルが起きた時間などを記録し、生産性、効率性の向上に活かしている。

 

そして一番驚きなのが、彼らがすべてIQ50以下の重度知的障害者とよばれるカテゴリに属する障がい者ということだ。

見学した作業場だけでも20名もの障がいを持った人たちが、元気に働いていた。

もちろん全員正社員で、8時間労働を週に5日し、有給休暇やボーナスなども得ている。

何も言われずに見学しても障がい者だとはひと目ではわからないくらい、せっせと働いていた。

ー「障がい者でもできること」ではなく「障がい者だからできること」ー

エフピコの方々が言うには、障がい者の人々は、とても勤勉で1日たりとも休まず働いてくれるという。

もちろんできることとできないことがあるが、細かい作業な人は細かな点検作業、力のある人はたまったトレイを運ぶ作業をさせるなど

その人にあったできることを見つけてさせてあげることで、やりがいを見つけ出し、障害を持ってない人よりも高い集中力で作業に邁進してくれるらしい。

 

つまり慈善事業として障がい者を雇っているわけでは決してなく、

戦力として、競争力の源泉として、障がい者を活用しているのだ。

 

もちろんそこまでの戦力になるには、相当の教育が必要だったという。

まず定時に来て、作業着を着用するところからはじめなければならない。

しかし、最初はできなくても、諦めずに教えてやればすぐにマスターするようになる。

そうして大切な戦力として、毎日欠かすことなく、仕事を愛して働いてくれる。

 

多様性を受け入れるー

エフピコグループの障害者雇用をおこなう特例子会社である株式会社ダックス四国の

且田社長は「障害というのは概念でしかなく、たまたまその人が人よりもできないだけだ」と述べていた。

そこで大事なのが「人の痛みがわかること」「多様性を受け入れるということだ」

決して「支えてあげる」とか「守ってあげる」ということではない。

 

こういうことは一見聞いたことあるようなことかもしれないが、

聞いたことが合っても実感や実践をする機会がないのが今の日本社会だ。

小学校まではクラスに障害をもった子供がいても、中学高校になったら突然消えていってします。

つまり小学校を卒業したら家族や親戚に障がい者がいない限り、触れ合う機会が全くないのだ。

 

簡単にいえば、別に障がい者のことを考えなくても生きていける、ということだ。

 

しかし、実は日本に障がい者というのは700万人以上いる。

その福祉のために税金が1兆円以上も使われている。

働くことのできる障がい者で企業に採用されない方は普通、小規模な作業所などで作業に従事している。

その雇用維持のために税金が使われているが、その税金が福祉関係者の給料になっても、

肝心の障がい者の月収は正式な労働の契約ではないため、1万円だったり、ありえないくらい収入が低いのだ。

 

しかし、エフピコで働く重度の知的障害をもった人々は正社員として人並みの月給をもらい、働く喜びも感じながら、日々を過ごしている。

そしてそれはエフピコが負担しているわけではなく、彼らのトレイ事業、リサイクル事業の競争力となっている。

そう考えると、エフピコが行っていることがいかに革命的なことかわかるだろう。

 

一人あたり700万円以上の大量の税金をかけ、アジア人を日本に呼び、

看護師免許やヘルパーの免許をとらせて、結局成果が出ないよりは、

700万人の障がい者を積極的に活用する方法を模索するの一つの道なのかもしれない、

と思った。

 

もちろんまだまだ課題はあるが、久々にすごいものをみた。