真のプラットフォーマーの全貌を知る1冊―――成毛眞『amazon 世界最先端の戦略がわかる』ダイヤモンド
2018年8月に第1刷が出たにもかかわらず、既に第7刷。
小売(EC/リアル)・物流・金融・エンタメ・クラウドコンピューティング、、、今や全世界のあらゆる産業に猛威を奮っているAmazonのビジネスについてまとめた本。意外とAmaonの全貌をしる本はなかったので、「ネットの記事や新聞で読むけど、意外とAWSやAmazon Goのこととかわからない」、という人にはこれに勝る良書はないだろう。
意外と知らないことが多かった
普段からAmazon界隈の情報は目にはしていたので、既知の情報が多いだろうと思っていたが、新たに発見した事実がいくつかあったので下記にまとめておこう。
- FBA(fulfillment by amazon)
マーケットプレイスに出店する企業が出荷・決済・配送・返品対応まで担ってくれる仕組み。おそらく流通業界や、メーカーにいらっしゃる方からすれば、Amazonの基本の基本ではあるのだろうが、詳しくは知らなかった。FBAを使えばPrimeマークが商品につくことになる。
Amazonは顧客第一主義であることはよく語られるが(本書でも語られる)、まさにビジネスのプラットフォーマーとして参加者の困りごとをスケールメリットを生かして、解決していく姿勢は世界一だろう。それが1番現れているのがFBAだと感じる。
- amazon launchpad
FBAに紐付いているが、スタートアップ企業が、Amazonに商品開発から物流、資金調達まで支援してもらえる仕組み。
こちらに紐付いて、Amazon Lendingで実際の資金調達も可能
- Amazon Lending
事業者向けの少額短期融資の仕組み。審査が従来の銀行融資よりもスピーディ。なぜか、それはAmazonが融資先の売上データ、在庫データなどをすべて握っているから。いざとなったら在庫も差し押さえられる、損をしない驚異のビジネスモデル。
- amazon multi channel fulfillment
Amazon以外のECプラットフォーム(楽天など)で商品を販売した場合でも、Amazonが出荷などを代行してくれる仕組み。
筆者もあまり知られていないことと前置きしているが、これは1番驚いた。
- カスケード
- KIVA
Amazonの倉庫ではたらくロボット。
世界のプラットフォーマーという恐ろしい存在
GAFAの脅威が叫ばれて久しいが、改めてAmazonが以下に世界の中心となって輝くプラットフォームであるか、そしてその恐ろしさを思い知る一冊だった。
下記の紹介した『プラットフォームブランディング』の記事で「プラットフォーム=1つの接点から多くの価値を生み出すもの」という自分なりの定義から考えると、Amazonがいかにそれにこだわり抜いているかがよくわかった。
プラットフォームブランディングーー1つの接点でいかに多くの価値を生み出すかー - Time Is More Than Money
ECに関していえば、商品の書いてと売り手の接点になるが、それにいたるまでの、購買プロセス、出品プロセスの中で数えきれないほどの価値を作っている。
これを全世界、あらゆるジャンルの商品でやっているのだから恐ろしい。それも極力人力を排除する形で・・・。
そしてそれだけでなく、Prime会員に向けた圧倒的なコンテンツに加えて、AWSまである。
※AWSもクラウドコンピューティングのインフラの中であらゆる価値を提供しているプラットフォームだ
Amazonはこれで終わりではないしますます進化するだろう。これが世界のプラットフォームの完成形になったとき、社会は生き方はどうなるのか、、というのは現代人であれば少し考えていかなければ行けないし、逆にビジネスに携わる人にとってはAmazonという怪物の動向は機会にもなるし脅威にもなるため、ますます注視しておきたい存在だ。その足がかりとして本書は最良であると思う。
ちなみに私は圧倒的にヨドバシ・ドット・コム派だ。