スポンサード漫才?5年ぶりのM-1グランプリに見たTV広告の新しい形
今年はM-1グランプリが5年ぶりに開催され、敗者復活を勝ち上がったトレンディエンジェルが優勝した。
開催されていることも今日の敗者復活の生中継を見て知ったくらいだったのだが、相変わらず演者の出来だけでなく演出や作り等、賞レースとしての「格」の作り方は見事だった。
ただ、1点だけ「審査委員が歴代優勝者」っていう点だけはひっかかったが、、、。
それは置いといて、今年のM-1には漫才以外にも面白い点があった。それはCM・広告の作り方。入れ方だ。
細切れのCMは少なめで、視聴者に飽きさせない
今年のM-1のスポンサーはプレミアスポンサーとしてCygames、日清食品、ユニクロ、ファミリーマートの4社が上がっていた。
これまでのM-1等ではスポンサー(主にオートバックス)のCMが漫才の途中で流れたりするのだが、今回はそういう普通のCMは少なかった。
一般のCMは開始前に数回、本戦で1回、あとは優勝発表前くらい。
今年のM-1は録画して19時位から追っかけ再生していたが、普通に観ていても飽きないていどのCM回数だったように思う。
じゃあ何が行われたかというと、番組中でのスポンサーの"自然な"露出だ。
自然に登場するファミチキ、ユニクロフリース
細切れのCMでは私のような録画組には飛ばされてしまうので、代わりに何が行われたかというと、番組での自然露出だ。
例えば、出番を待つ芸人達が待っている楽屋に何が置いてあったかというと大量のファミチキ。
ああいう人が多く集まる場所にファミチキがあると確かに良いなと思ってしまう。
また敗者復活の結果を外で待っている芸人達が何を着ていたのかというとユニクロロゴが入った暖かそうなフリース。
どうせ飛ばされるCMで錦織圭に来てもらうより、「待たされてる寒そうな人」にフリースを着てもらったほうがよっぽど効果的。
極めつけはNON STYLEの「"スポンサード"漫才」
こういった形で録画中でもスポンサーの露出があるように工夫していてすごいなーと思ってみていたのだが、優勝発表前のCMでもっと驚くべきことがあった。
それはNON STYLEによる「スポンサード漫才」だ。
決勝3組目のジャルジャルのネタが終ったので、30秒スキップを押すと誰かが漫才をしている。
「あれ?まだ残ってたっけ」と思っていると、やっていたのはM-1には出ていないNON STYLEだ。
そして彼らはいつものようにネタをやっているのだが、ずっと見てみるとそれはゲレンデを舞台に井上がヒートテックを面白く紹介するという2分ほどの「スポンサード漫才」だった。
10年ほど前、「コントの中でスポンサーの名前を入れまくる」というネタをアンジャッシュをやっていたのを見たが、それが実現したイメージ。
昔のM-1でもオートバックスのCMで優勝者が漫才をやったりしていたが、今回はCMの中での漫才というより、漫才の中でのCM。コンテンツとして普通に面白い上にスポンサーも登場する。
ネット時代・録画時代の新しいTV広告の形
テレビが衰退したと言われて久しい。
色々と原因はあると思うが、いくつか要因としてあげられるのは録画機器の高性能化とに併せてネットでもコンテンツを見られるようになったことだろう。
録画すればCMは飛ばされ、スポンサーも激減する。
Youtubeに番組がアップされるとわざわざTVを通して見る必要もなくなり、視聴率も減る。
だからといってCMをなくしてしまってはコンテンツ自体を作れなくなる。
そのために生み出したのが今回のような手法だろう。録画していてもスポンサーに触れられるような工夫を番組自体に入れ込む。
それも単なるスポンサー紹介ではなく、コンテンツの中に自然に。
紙媒体やネットメディアではネイティブ広告として自然に行われてきた形だがTVでも同じ形は増えるだろう。
もっとも、『TBSのチューボーですよ!』等では料理と合わせてサントリーのウイスキーやワインを飲んだりもしていて、これまでもコンテンツを損ねない形でスポンサーが登場するというのはあったことはあったけど。
録画で見たFNS歌謡祭が細切れCMが多かった分、今回のM-1が気になった次第。