ヤマダ電機の新店舗"Concept LAVI TOKYO"が想像以上に酷かった件
10月31日に八重洲にオープンしたヤマダ電機の新業態、Concept LABI TOKYO。
「最先端コンセプトの情報発信基地」と謳っているようにこれまでのヤマダ電機よはちがったコンセプトで作られたということもあって期待していったが中々期待はずれだったので、そのレポート・・・。
入り口から漂う"ヤマダ電機感"
これまでの量販店といえば、できるだけ多くのものを陳列し、どこよりも安いということを謳うことに力をいれている分、大衆向けになり、「オシャレさ」等は捨てたものが普通だった。
なので、Concept LAVI TOKYOはそういった従来の家電量販店とは違うのではないかと期待していた。
イメージで言えば、二子玉川にオープンした蔦屋家電。
だが、蓋をあけてみるとまったく様相は異なっていた。
入口に入った瞬間、どこの家電量販店にもあるような
「イー・モバイルいま勧誘なら○○円お得!!!」
こんなポップをかざり、ウインドブレーカーやハッピを着用した店員が勧誘を行っている。
中に入っても新宿のLAVIとおなじようなアナウンスやBGM.
店員の服装も同じ・・・。
何が「Concept」なのか全くわからない。。。
ガラガラの店内
案の定店はガラガラ・・・。
クリスマス、年末前のこのシーズンといえば家電量販店は一番忙しいはずなのに、、、手持ち無沙汰の店員が話しかけてくるくらい暇。
店員によると、オープンしてから全然客が来なかったので普通の家電量販店のようなポップを増やしたとのこと・・・。
謎の場所に位置するカフェ
7Fにカフェがあるのだが、そこの回りは冷蔵庫売り場・・・。
モールとしての魅力を出したいならもうすこしレイアウト考えたほうがいい。
冷蔵庫に囲まれてコーヒーが美味く飲めるはずがない。
哀愁ただようSONY&Panasonicコーナー
1FはAppleコーナー
2Fはモバイル
そして3Fにあったのは「SONY/Panasonic特設フロア」
2大メーカーのためのフロアなのか!!!新しい!!と思って楽しみにいってみたのだが、
特に新しい発見は皆無に近かった。。
個人的にはSonyが好きなので楽しめたのだけど、普通の人からしたら普通の電気屋と変わらない。
むしろ無駄にスペースをとっているため情報量も少ない。
一体何がしたいんだろう・・・。本気でそう思わされるくらいつまらなかった。
完全な企画オチ
こうなってしまった原因はいくつかあるだろう。
まずは立地。
八重洲口から徒歩ときくと東京駅から近いように見えるが、この辺を歩くのは日本橋で働くビジネスマンか、成田空港にバスでいく人くらい。
渋谷・新宿や銀座のように外国人が好んで集まるような場所ではないため人は集まりにくい。
もうひとつはコンセプトの"薄さ"。
Concept LAVIと名乗ってるもののコンセプトが何なのか一向に見えてこない。
本当にお洒落を目指すなら収益を度外視したような洗練されたデザインとか建物にすればいいのに、全然尖ってない普通の家電屋。
おまけに客が来ないからといって、いつものヤマダ電機の雰囲気に戻してしまう。
いつものに戻すならビックロみたいなごちゃごちゃ感を作ってしまえばよかったのに・・・。
各フロアに1台ずつくらい居たPepperがますます痛く見えてくる・・・。
スポンサード漫才?5年ぶりのM-1グランプリに見たTV広告の新しい形
今年はM-1グランプリが5年ぶりに開催され、敗者復活を勝ち上がったトレンディエンジェルが優勝した。
開催されていることも今日の敗者復活の生中継を見て知ったくらいだったのだが、相変わらず演者の出来だけでなく演出や作り等、賞レースとしての「格」の作り方は見事だった。
ただ、1点だけ「審査委員が歴代優勝者」っていう点だけはひっかかったが、、、。
それは置いといて、今年のM-1には漫才以外にも面白い点があった。それはCM・広告の作り方。入れ方だ。
細切れのCMは少なめで、視聴者に飽きさせない
今年のM-1のスポンサーはプレミアスポンサーとしてCygames、日清食品、ユニクロ、ファミリーマートの4社が上がっていた。
これまでのM-1等ではスポンサー(主にオートバックス)のCMが漫才の途中で流れたりするのだが、今回はそういう普通のCMは少なかった。
一般のCMは開始前に数回、本戦で1回、あとは優勝発表前くらい。
今年のM-1は録画して19時位から追っかけ再生していたが、普通に観ていても飽きないていどのCM回数だったように思う。
じゃあ何が行われたかというと、番組中でのスポンサーの"自然な"露出だ。
自然に登場するファミチキ、ユニクロフリース
細切れのCMでは私のような録画組には飛ばされてしまうので、代わりに何が行われたかというと、番組での自然露出だ。
例えば、出番を待つ芸人達が待っている楽屋に何が置いてあったかというと大量のファミチキ。
ああいう人が多く集まる場所にファミチキがあると確かに良いなと思ってしまう。
また敗者復活の結果を外で待っている芸人達が何を着ていたのかというとユニクロロゴが入った暖かそうなフリース。
どうせ飛ばされるCMで錦織圭に来てもらうより、「待たされてる寒そうな人」にフリースを着てもらったほうがよっぽど効果的。
極めつけはNON STYLEの「"スポンサード"漫才」
こういった形で録画中でもスポンサーの露出があるように工夫していてすごいなーと思ってみていたのだが、優勝発表前のCMでもっと驚くべきことがあった。
それはNON STYLEによる「スポンサード漫才」だ。
決勝3組目のジャルジャルのネタが終ったので、30秒スキップを押すと誰かが漫才をしている。
「あれ?まだ残ってたっけ」と思っていると、やっていたのはM-1には出ていないNON STYLEだ。
そして彼らはいつものようにネタをやっているのだが、ずっと見てみるとそれはゲレンデを舞台に井上がヒートテックを面白く紹介するという2分ほどの「スポンサード漫才」だった。
10年ほど前、「コントの中でスポンサーの名前を入れまくる」というネタをアンジャッシュをやっていたのを見たが、それが実現したイメージ。
昔のM-1でもオートバックスのCMで優勝者が漫才をやったりしていたが、今回はCMの中での漫才というより、漫才の中でのCM。コンテンツとして普通に面白い上にスポンサーも登場する。
ネット時代・録画時代の新しいTV広告の形
テレビが衰退したと言われて久しい。
色々と原因はあると思うが、いくつか要因としてあげられるのは録画機器の高性能化とに併せてネットでもコンテンツを見られるようになったことだろう。
録画すればCMは飛ばされ、スポンサーも激減する。
Youtubeに番組がアップされるとわざわざTVを通して見る必要もなくなり、視聴率も減る。
だからといってCMをなくしてしまってはコンテンツ自体を作れなくなる。
そのために生み出したのが今回のような手法だろう。録画していてもスポンサーに触れられるような工夫を番組自体に入れ込む。
それも単なるスポンサー紹介ではなく、コンテンツの中に自然に。
紙媒体やネットメディアではネイティブ広告として自然に行われてきた形だがTVでも同じ形は増えるだろう。
もっとも、『TBSのチューボーですよ!』等では料理と合わせてサントリーのウイスキーやワインを飲んだりもしていて、これまでもコンテンツを損ねない形でスポンサーが登場するというのはあったことはあったけど。
録画で見たFNS歌謡祭が細切れCMが多かった分、今回のM-1が気になった次第。
マクロ経済を動かすのも人間の意思決定――『ルワンダ中央銀行総裁日記』
通勤中にちびちび読んでいたが、様々な中断を経て、ようやく読破。
1965年にルワンダの中央銀行総裁として着任した服部正也氏の回想記。
1972年に刊行され未だに第3版が刷られるほどのベストセラーだ。
ルワンダといえば1990代にかけて起きたルワンダ内戦のイメージが大きい容保う方思うが本書に記載されているのはそれより以前のものだ。
1962年にルワンダが正式にベルギーから独立され、その3年後に服部氏が着任し、6年間国内経済の発展や、平価切下げ等の通貨政策、財政均衡に取り組んだ記録だ。
中央銀行の政策といえば、日本で考えれば、日銀による国債の売買、通貨の発行など、どれも無機質的なイメージをもってしまう人も多いだろう。
しかし本書に記されている克明な記録には、無機質な経済政策ではなく、日々の人間と人間のやりとり、誰の心を動かせば意思決定がなされるのかという仕組みづくりなど、非常にミクロな要因によってマクロ経済が動かかされているということがよくわかる。
その中でも、服部氏がルワンダのカイバンダ大統領に通貨の切り下げで起こった事例をを説いた際のこの一節が気に入っている。
第三の教訓は、経済は生き物であって、自律的な法則によって動いてはいるが、法則の基礎になっている条件が変われば、それに順応してゆくものであることです。経済は生き物であるという意味は、経済は人間活動であるということで、人間の行為で意思というものが最も重要なものなのです。平価の妥当な水準を計算することは必要ですが。仮にその計算に若干の誤差があっても、平価を維持する決心があれば、その決心自体が経済に順応反応を呼び起こすものなのです。
本書で面白いのは本当にゼロから経済政策を立てなおしている点だ。
そしてその政策立案のプロセスの中に
「現状把握」→「分析」→「立案」→「実行」というプロセスがわかりやすくなされているのが面白い。
そしてあらゆる経済政策は規制によってではなく、国民に「インセンティブをいかに与えるか」という考え方からなされている。
規制をして蓋をするのではなく、インセンティブを与える。
こうした「ゼロからの経済政策」を見ることができる本は本書以外には中々大だろう。
そしてマクロな経済をミクロに見ることができる本もすくない。
そういった点で本書は万人におすすめしたい一冊。
マクロ経済をミクロに見るという点ではこちらもおすすめ。